近年、新築住宅の延べ床面積はどんどん小さくなってきています。平成27年に国土交通省が出した「住宅経済関連データ」によると、注文住宅の一戸あたりの平均延べ床面積は122.7平方メートル。今では10坪台の家も珍しくなく、むしろ立地を優先した上であえて狭小住宅を選択する家族も増えてきています。
しかし実際住んで一番頭を悩ませるのが収納場所ではないでしょうか。今回はそんな狭小住宅ならではの収納アイデアについてまとめてみました。
狭小住宅は収納スペースを確保しにくい!?
狭小住宅では生活空間をまず優先してしまうため、収納スペースまでは気がまわらず、後で後悔するパターンが多いそう。確かに狭小住宅は解放感がなく面積も狭いので、出来るだけ広く生活したいと考えがちです。
玄関ひとつをとっても幅が狭くて小さな靴箱を置くだけでやっとだったり、クローゼットも個室の広さを確保するためにどうしても小さくせざるを得なかったりしますよね。
それ以外にも狭小住宅でよく見られるのが、リビングを広くするために洗面室の面積を削ってしまうケース。でも洗面室では着替えに洗面・歯みがき・メイク・洗濯までさまざまな作業をしますよね。その分洗面用品からシャンプーのストック・バケツや洗剤・体重計・タオル・家族の下着まで収納したいものの種類も量も多いもの。つまり洗面所には想像以上に収納スペースが必要なんです。
狭小住宅だからこそ収納をきちんと考えないともっと狭い家になりかねません。そうならない為にも、収納スペースを作るには工夫が必要です。
アイデア沢山|狭小住宅で収納上手な間取りを作る方法は?
では、実際狭小住宅を最大限広く使うためには、収納スペースにどんな工夫が必要になってくるのでしょうか?
とにかくスペースを無駄なく有効活用!
狭小住宅だけでなくどのタイプの家でも言えることですが、まずは「デッドスペースを出来るだけ減らす」ことが収納上手の近道となります。
狭小住宅での収納計画は「間口を広く・奥行きを浅く」が鉄則。奥行きの深い収納は幅をとるだけでなく、手の届かないデッドスペースができてしまいがち。そこに押し込んだモノは取り出しにくいので使わなくなり、持っていることすら忘れてしまうこともよくあることです。なるべく間口が広く奥行きの浅い収納をつくっておけば、省スペースで済むだけでなく入っているモノが一目で見渡せてデッドスペースが出来ません。
作りつけの家具でなくても無駄なくスペースを利用する考えは同じです。例えばソファーの下の隙間を活用し、キャスターつきのカゴなどを置き雑誌や新聞を置くスペースにしてみたり、そもそも引き出しつきのソファーにするという手もあります。
また家族が集まるがゆえに乱雑になりがちなリビング。今はキッチンとひと続きになっている間取りが多く、ダイニングテーブルやソファーで空間を仕切っているご家庭も多いのではないでしょうか?
例えば意外とデッドスペースになっているリビングのソファの裏側に棚を置き、雑多な生活用品やダイニングでも利用するものなどをまとめてみるのもオススメです。
大きすぎる家具は置かない
当たり前ですが、狭小住宅にとって大きい家具は幅をとってしまうため、どうしても邪魔になってしまいます。確かに大きい家具は収納力もありますが、幅をとるだけでなく視覚的にも圧迫感があり、狭い部屋が更に狭く見えてしまいます。
狭小住宅においては、家具は最小限のサイズを揃え収納スペースを作るのが賢い方法と言えます。
またサイズは最小限ですが、使い方が一つではない家具はオススメです。例えばベッドにもなるソファーや踏み台にもなるサイズの椅子、ロフトや小上がりのスペースに行くための階段にもなる棚など。それだけで2通りも3通りにもなるものは場所もとらず応用が効くので、狭小住宅にはまさにピッタリと言えます。
DIYで自分にピッタリの収納を作る
家具屋さんに行っても自分の欲しいサイズがなかったりする場合は、自分で作って家にあった収納を作るのもひとつの手です。例えば洗面台と壁の間にある数センチの隙間を見逃さず、スライドして使う収納棚を作ることもDIYなら可能です。
棚なんてなかなか作れない!という不器用さんでも、玄関上の空いたスペースに板を一枚つけて、雨の日しか使わないレインコート類を置くなんてことも立派なDIYなのです。
わざわざ板や釘を使わなくても、突っ張り棒を使ってトイレの上部のデッドスペースに棚をつけるなんてことも可能です。
材料は100円ショップでも簡単に手に入るので、女性でも簡単にDIY出来ちゃいます。
狭小住宅の収納上手な間取り3選!素敵な空間が作れる♪
スペースを有効に活用した家族憩いの空間
出典:中鉢建設
こちらは11坪3階建ての狭小住宅。狭いながらも随所に空間を無駄にしない工夫がほどこされています。
1階は車庫でスペースを取ってしまう分、階段下をトイレスペースとして使うことでスペースの無駄を省いていますね。2階のLDKは14帖あり、隣にあるタタミスペースにあえて壁や仕切りをつけないことで広さを確保しています。と言ってもつくりつけの収納もきちんとあるので、雑多になりがちなリビングでもスッキリ過ごせますね。
3階は6帖の寝室と3.8畳の子供部屋が2つ。こちらは部屋をコンパクトにした分、年齢とともに増える持ち物を全てスッキリしまえるよう2畳ほどのウォークインクローゼットをつけています。
最近では子供部屋にこもりっきりにさせたくないという親のニーズもあり、あえて子供部屋をコンパクトにしている間取りが増えており、実際はベットを置くくらいのスペースがあれば十分なようですね。
27坪の土地に2台分の駐車場 狭小2階建てプラン
出典:都市工房
こちらは約27坪の土地に駐車場2台分を確保した2階建て狭小住宅。家の面積は13坪とかなりコンパクトですが、生活動線も良く無駄なスペースをつくらない工夫がされています。
1階は玄関から入ってすぐキッチン。買い物したものも最短距離で運べます。リビングには吹抜けを設け、縦にも横にもゆとりを感じられるように工夫されていますね。
たまに来る来客用のタタミスペースはあえて作らず、その代わりに玄関スペースを広くとることで靴だけでなく雨具やアウトドア用品も収納できるつくりつけのスペースを確保しています。
2階の主寝室には広々としたウォークインクローゼット。4.5帖の洋室にもそれぞれクローゼットを設けて収納力はばっちりです。
また主寝室・子供部屋の他にフリースペースも設けており、どんな空間にするか決める余地があるのも良いですね。
屋上菜園のある、5人が暮らす二世帯住宅
出典:T&W
こちらは18坪という狭小住宅ながら、二世帯でなおかつ屋上菜園まである贅沢なお宅。敷地の間口は約4.4m、奥行は約14mと細長い狭小地を最大限生かした家づくりをされています。
まず出入りのしやすい1階に母親の部屋を配置し、和室の奥にはデッキのある庭。キッチンを配置して居室前に一部屋設け、ドアを二重にすることで玄関ドアの開閉音を軽減します。
親子共有の玄関には大きなシューズクロークもあり、ベビーカーやアウトドア用品も収納できます。
2・3階の子世帯は2階にリビングを配置。リビングは建具で仕切っているため、部屋として使用することも可能になっています。ガレージの屋根も兼ねたデッキとつながり、密集地の中で開放感とプライバシーのバランスが良いですね。
3階には将来の子供部屋、夫婦の主寝室の他、通り抜けができる広めのウォークインクローゼットがあり収納力もバツグンです。
屋上には家庭菜園ができるスペースも設けており、狭小地ながら開放感あふれるお宅です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
狭い土地に建てる「狭小住宅」。都市部など利便性の高いエリアでは、土地を購入しようにも価格が高かったり狭い土地しかなかったりすることから、狭小住宅のニーズはとても増えている傾向にあります。
ただ狭小住宅だと間取りの自由度が低そう、部屋数が少なそう、収納が不足しそうなどマイナスなイメージをもってしまいがち。しかし空間を工夫することで快適な住まいづくりは不可能ではありません。
何人家族だとしても、まずは身の回りの持ち物が本当に必要なのかという取捨選択をした上で、その持ち物を最大限使いやすくできるよう収納スペースを考えて作れば狭小住宅でも広い家以上に快適な生活を楽しめますよ。
ぜひこの記事を参考に、素敵な家づくりを目指してくださいね。